シリーズ・医用基礎工学入門・4
電気・2
金井 寛
1
Hiroshi KANAI
1
1上智大学理工学部電子電気工学科
pp.444-447
発行日 1985年4月15日
Published Date 1985/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912546
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生体各組織の電気特性
生体は基礎・2の生体の構成で述べたように,細胞レベルで考えると4種に大別される.電気特性も,前述したように数kHzから500kHz程度の周波数では細胞レベルの不均質の影響を強く受けるので,この分類に従って大よその電気特性が理解できる.
これまで多くの研究者によって生体の電気特性が測定されてきたが,測定値は広くばらついている.Geddesらはこれらのデータを集約している4)が,十分信頼できるデータは少ない.この原因としては,生体の電気特性の周波数依存性,異方性,温度依存性,電極の影響などのほか,測定方法の不備などが考えられる.このような点を考慮して,イヌについての比較的信頼できるデータの中から1〜100kHz,37℃で測定されたデータを図1に示す1).大部分の組織の抵抗率は300〜1,000Ω・cmの範囲であるが,血液は150Ω・cm程度と著しく低く,脂肪は1〜3kΩ・cmと著しく高い.骨も脂肪と同程度であり,皮膚は表面状態によって抵抗率が著しく変化する5).骨格筋の抵抗値が著しくばらついているのは,異方性と周波数依存性が著しいためと考えられる.骨格筋の電気抵抗の異方性についてはいくつかの報告があるが,線維方向と直角方向の抵抗比が1:2程度であるものから1:25程度のものまでさまざまである.
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