シリーズ・医用基礎工学入門・2
基礎・2
金井 寛
1
Hiroshi KANAI
1
1上智大学理工学部
pp.197-199
発行日 1985年2月15日
Published Date 1985/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912495
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生体の構成
生体は,原子→分子→細胞内構造→細胞→組織→臓器→系→個体,というように階層的に構成されている.生体の特性を考える場合には,これらのどのレベルが重要であるかを考えなければならない1).X線,光,電波,超音波,力学的振動などはいずれも波動なので,これらに対する生体の特性は同一の現象として統一的に考えることができるが,波長が異なるので上記のどのレベルが重要であるかは波長によって決まる.例えば,X線は波長が短くエネルギーが強いので,X線の生体内での吸収や散乱は原子レベルで決まる.光の場合はX線より波長が長いので,吸収は原子・分子レベル,散乱は原子・分子・細胞レベルの影響が大きい.
電気特性は一般に細胞・組織レベルの構造で決まるが,マイクロ波では波長が組織の大きさに近くなり,組織レベルでの共鳴や散乱が重要となる.超音波,力学振動などは細胞・組織レベルと関係が深いが,超音波吸収や力学的非線形性は分子レベルの影響を強く受ける.
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