特集 産業医学と臨床検査
Ⅱ.有害因子と臨床検査
2 化学的因子
20 農薬
松島 松翠
1
Shosui MATSUSHIMA
1
1佐久総合病院健康管理部
pp.1451-1463
発行日 1984年11月1日
Published Date 1984/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912396
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□はじめに
農薬中毒の問題には二つの面がある.その一つは,農業労働災害としてであり,直接これを使用する農民の問題である.他の一つは,環境や食品の汚染からくる,いわゆる公害的影響についてである.
前者の職業災害としての農薬中毒は,なお今日さまざまな問題をかかえている.1970年,パラチオン(ホリドール)などの強毒性農薬が禁止になってから,重症例や死亡例は著しく減少したが,代わって登場してきた低毒性農薬といえども,死亡事故は皆無ではないし,また皮膚障害,眼障害などは逆に増えつつある.また複数農薬の相乗作用の問題や慢性中毒,催奇形性,発癌性の問題が大きくクローズアップされている.
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