特集 産業医学と臨床検査
Ⅱ.有害因子と臨床検査
2 化学的因子
18 イソシアネート
大前 和幸
1
,
桜井 治彦
1
Kazuyuki OMAE
1
,
Haruhiko SAKURAI
1
1慶応義塾大学医学部衛生学・公衆衛生学教室
pp.1441-1446
発行日 1984年11月1日
Published Date 1984/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912394
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□はじめに
イソシアネートは非常に反応性の強い官能基—NCOを有する化学物質の総称であるが,産業上使用されるものは2個のイソシアネート基を有するジイソシアネートおよびそのプレポリマーである(図1).
もっとも大量に使用されているのは,トルエン・ジイソシアネート(TDI)とジフェニルメタン・ジイソシアネート(MDI)であり,活性化水素化合物との重合反応,発泡反応によりポリウレタン樹脂となる.ポリウレタンは,使用するイソシアネートと活性水素化合物の種類と成型法の組み合わせにより物性の非常に異なった製品となり,幅広い分野で利用されている.主な製品は,軟質フォーム(マットレス,クッションなど),硬質フォーム(冷凍倉庫,LPGタンカー,家屋などの断熱材),表皮付きフォーム(自動車内装材),エラストマー(工業用歯車,ソリッドタイヤ,防振ゴム),高級塗料,シーラント,合成皮革,弾性繊維などである.
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