特集 産業医学と臨床検査
Ⅱ.有害因子と臨床検査
2 化学的因子
14 刺激性ガス
堀口 俊一
1
Shun-ichi HORIGUCHI
1
1大阪市立大学医学部衛生学教室
pp.1417-1420
発行日 1984年11月1日
Published Date 1984/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912388
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□はじめに
刺激性ガス(蒸気を含む.以下同じ)は皮膚および粘膜,ことに呼吸器と眼に刺激作用を及ぼす化学物質である.このものは種々の化学構造を持ち,その作用は局所刺激性のほかに,全身毒性を発揮するものも少なくない.後者については本特集で別に取り上げられているので,本稿では刺激作用を主とする,いわゆる一次性刺激性ガスに限定して述べることにする1,2).
一次性刺激性ガスの主なものとして,次のガスを挙げることができる.塩素*1,塩化水素*2(塩酸),ホスゲン*2,フッ化水素*1,二酸化イオウ*2,一酸化イオウ,硫酸*2,硫酸ジメチル*1,硝気,特に二酸化窒素,硝酸*2,オゾン,アンモニア*2,アクロレイン*3,ホルムアルデヒド*2など.これらの大部分のものに対して,わが国では特定化学物質として労働衛生上の規制を行っている3).
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