Japanese
English
特集 ロコモティブシンドロームの現況
Ⅵ.疾患とロコモ
14.急性期外傷での電気刺激療法
Neuromuscular electrical stimulation for acute trauma
中野 秀比古
1
H. Nakano
1
1日立総合病院救急集中治療科
1Dept. of Emergency and Critical Care Medicine, Hitachi General Hospital, Hitachi
キーワード:
neuro muscular electrical stimulation
,
post intensive care syndrome
,
trauma
Keyword:
neuro muscular electrical stimulation
,
post intensive care syndrome
,
trauma
pp.711-715
発行日 2021年5月20日
Published Date 2021/5/20
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei72_711
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は じ め に
18世紀後半に電気が筋収縮をもたらすことが発見されてから,電気治療による筋収縮はさまざまな臨床での活用方法が模索されている.電気刺激療法の使用は脳卒中,脊髄損傷,スポーツ関連外傷,病後の状態などさまざまな分野で検討されており,筋収縮は筋力増強,心血管機能の改善,筋萎縮の予防,痙縮の減少,身体機能の回復をもたらすといわれている.
昨今,疾患や外傷による重症患者の治癒後にさまざまな後遺症を残すことが報告されている.重症患者の長期予後を改善するために,これらの後遺症は集中治療後症候群(post intensive care syndrome:PICS)と呼ばれ注目されている1).PICSには患者自身の精神機能障害,認知機能障害,身体障害と患者家族の精神機能障害が含まれているが,身体機能低下の予防を目的とした早期からの電気刺激療法の導入の報告も増加している2~4).
本稿では筋力・筋肉量増強をターゲットに,電気刺激療法の原理と,急性期外傷を含めた重症患者における電気刺激療法の当院での治療成績,これまでの整形外科領域での報告について述べ,さらに四肢の筋萎縮抑制以外の臨床で有用な効果についても述べる.
© Nankodo Co., Ltd., 2021