講座・リンパ球の検査・5
ADCCの測定法
隅谷 護人
1
Morito SUMIYA
1
1自治医科大学アレルギー膠原病科
pp.564-569
発行日 1984年5月15日
Published Date 1984/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912195
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はじめに
生体には,非自己細胞やなんらかの修飾を受けた自己細胞に対して,補体系の関与無しに,直接障害的に働く細胞が存在し,腫瘍,移植,感染に対する防御機構として重要な役割を果たしている.この中には,①抗原刺激を受けて増殖し,抗原特異的に働くキラーT細胞によるものと,②抗原刺激を受けることなく生体にすでに存在する抗原非特異的な細胞障害機序が知られており,後者に属するものとして,抗体の関与無しに障害活性を示すNatural Killer細胞(NK細胞)や標的細胞に特異的な抗体の存在下で障害活性を示すantibody dependent cell-mediated cytotoxicity(ADCC)の機序などがある.
ADCCは1965年,Möllerによって見いだされ,その後,細胞障害担当細胞(エフェクター細胞),抗体,標的細胞障害機序の面から多くの研究がなされてきた.その結果,ADCCに関与するエフェクター細胞の多様性,標的細胞の種類によるエフェクター細胞の効率の差,NK細胞との異同など,ADCCの複雑さが明らかにされるとともに,腫瘍や感染に対する防御機構としてのADCCの生理学的重要性も明らかにされつつある.ここでは,リンパ球によるADCCを中心にその特徴を概説し,その後にADCCの測定方法と臨床への応用に触れることとしたい.
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