私のくふう
簡単で安価なラットの固定法
高橋 豊三
1
,
高橋 直子
1
,
奥田 研爾
1
1横浜市立大学医学部細菌学教室
pp.549
発行日 1984年5月15日
Published Date 1984/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912193
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近年,臨床検査技師はもちろんのこと,基礎研究の分野においても女性の研究者が増えている.ラットは比較的に扱いやすい動物で,取り扱いに慣れればむやみに噛みつくようなことはないが,中には神経質なものもいて,噛みつかれたという話をよく耳にする.
ラットの固定法は,用心のために軍手をはめて背後から接近し,静かに背から全体を柔らかくつかんで行うが,恐怖で暴れることもあるので,一般には金網などの上をはわせ,栂指と人差し指で首すじの皮膚をつかんで,手掌と他の三指で背から側腹部を柔らかに保持する方法が用いられている1,2).しかし,ある実験系を組んで多数のラットを長時間にわたって処理する場合には,このような方法は非能率的であり,しまいには手首が痛くなって,やはり一度や二度は噛まれてしまったという苦い経験をよく聞かされる.そこで,著者らは,ラットの腹腔内に注射をする実験者のために,安価で簡単にできる固定器具を考案した.
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