今月の主題 呼吸と循環(生理検査)
技術解説
新生児の心臓超音波検査
藤原 直
1
,
小林 清亮
2
,
高橋 文行
2
,
宮口 英樹
3
,
柴田 隆
3
Tadashi FUJIWARA
1
,
Seiryo KOBAYASHI
2
,
Fumiyuki TAKAHASHI
2
,
Hideki MIYAGUCHI
3
,
Takashi SHIBATA
3
1順天堂大学循環器内科
2順天堂大学伊豆長岡病院循環器科
3順天堂大学伊豆長岡病院新生児センター
pp.380-386
発行日 1984年4月15日
Published Date 1984/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912163
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近年心エコー法は非観血的検査法として急速な進歩をとげている.すなわち,超音波心断層法(Two-dimensional echocardiography:2DE)は心内構造を知るうえできわめて有用な情報を提供しうるし,Mモード心エコー図は種々の心機能の指標を測定可能にする.またコントラストエコー法,パルスドップラー法を併用することにより心内血行動態を把握することができるようになった.心児科領域においても先天性心疾患のより正確な診断をするうえで必要不可欠なものとなっている.とりわけ新生児期に発症する高度の低酸素血症や心不全は先天性心疾患のみがその原因になるとは限らず,代謝異常,中枢神経系異常,呼吸器疾患や胎児循環持続症などでも生じうるわけでこれらの鑑別診断上,また早期診断早期治療上心エコー図は有用な情報を提供する重要な検査法の一つである.
本稿では,新生児の心エコー図記録の実際(機器,記録方法,診断方法)を中心に解説し,さらに胎児循環から新生児循環への移行,その後の新生児期の発育過程における血行動態上の変化と心機能指標上の変化について述べ,最後に新生児期の正常な循環動態の適応障害と考えられる胎児循環持続症の心エコー図所見について述べることにするので,いわゆる先天性心疾患の心エコー図の詳細については他誌を参照されたい.
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