今月の主題 輸液と臨床検査
カラーグラフ
輸液オスモティックネフローシス
飯高 和成
1
,
前田 順子
1
,
鈴木 かおる
1
,
和久 茂仁
1
,
芹沢 俊明
2
1獨協医科大学第二病理学教室
2獨協医科大学付属病院病理科電子顕微鏡室
pp.1446-1448
発行日 1983年11月15日
Published Date 1983/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912041
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今世紀初めごろから,脳浮腫の改善や利尿の目的で,ショ糖やマンニトールなどの高張輸液を受けた患者や,血漿増量剤のデキストランを投与された患者の腎の近位尿細管上皮細胞に水腫状,空胞状腫脹が出現することが相次いで報告され,ショ糖腎症と呼ばれた.その後,Allen1)は浸透圧の関与で空胞が発生すると考え,オスモティックネフローシスという言葉を提唱した.しかし,近年では,空胞の発生機序としてパイノサイトーシスが注目されており,オスモティックという言葉は不適当とする見解もみられる2〜4).
しかしながら,数多くの動物実験や人体例の報告がなされており,尿細管上皮細胞の空胞状腫脹への輸液の関与は腎の再吸収のメカニズムを解明するうえで興味深い問題であろう.
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