今月の主題 風変わりな感染経路の感染症
カラーグラフ
風変わりな感染経路の感染症
三輪谷 俊夫
1
1大阪大学微生物病研究所細菌血清学部門
pp.256-257
発行日 1982年3月15日
Published Date 1982/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911495
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ヒトというものはおもしろいことを考えつくものである.精力剤として"生きたドジョウを酒に泳がして丸飲みすること"が関西の居住酒屋て流行したことがある.このため顎口虫症が多発し新聞紙上を騒がせた.消費されるドジョウの大部分はアジア諸国からの輸入に依存している現状である.この輸入トジョウから顎口虫幼虫が検出されたのは,ごく最近のことである.顎口虫に感染したドジョウを生きたままで丸飲みすれば,顎口虫症に罹患するのも当然の結果である.このような現状をふまえて,魚類,特に輸入生鮮魚類を介し侵入してくる可能性の強い寄生虫疾患を見直してみたい.韓国型出血熱の病原体ウイルスは韓国高麗大学の李鎬汪教授によって分離・発見された.わが国では流行性出血熱と呼ばれてきたもので,旧満州の旧日本陸軍を大いに悩ませた疾患であり,昭和35年大阪市北区梅田町を中心に流行し,わが国にも存在することが証明された.最近になって,主としてラットを取り扱った動物実験研者の間で多発するに及び,注目を集めている.筆者はレジナネラ症に関する厚生省科学研究班の一員であるが,わが国においてもビル,病院のクーリングシステムの水がLegionellaによって高頻度に汚染されている事実を知り,その対策の重要性を痛感している昨今である.
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