今月の主題 人畜共通感染症
話題
魚類にかかわる非定型抗酸菌症
児玉 洋
1
Hiroshi KODAMA
1
1大阪府立大学農学部獣医免疫学講座
キーワード:
Mycobacterium
,
魚類
,
人獣共通感染症
Keyword:
Mycobacterium
,
魚類
,
人獣共通感染症
pp.1056-1058
発行日 1995年9月15日
Published Date 1995/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902599
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1.魚類のマイコバクテリウム症
Mycobacteriumは好気性,非運動性,抗酸性,無芽胞のグラム陽性桿菌で,動物,植物,土壌,海水および淡水中に広く分布する.1986年度版のBergey's Manualには49種もの記載がある.結核菌以外のMycobacteriumを非定型抗酸菌(atypical mycobacteria)と呼ぶ.罹患する水生動物は魚類,両生類および爬虫類で,ヒトや家畜との共通病原菌に起因する例がある.野生の海水魚および淡水魚,あるいは水族館や実験室内で飼育する魚,特に熱帯魚を中心とする150種以上の魚類でマイコバクテリウム症(fish mycobacteriosis)を観察し,50種以上のMycobacteriumが分離されている.しかし,Bergey's Manualに記載されているのはM. marinum,M. fortuitum,M. chelonae,M. scrofulaceum,M. simiae,およびM. nonchromogenicumの6種である.
M. pisciatm(現在,M. marinumのシノニムとみなされる)は1902年に水生動物で最初に報告された菌種で1),1897年Bataillonらが非定型抗酸菌感染ヒトの排泄物に汚染された池で飼育されていたコイに発生した症例を"コイの結核病"として報告したものに由来する.
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