特集 臨床神経生理学的検査の進歩
Ⅰ 脳波
11.データ処理と臨床応用
4)睡眠ポリグラフ記録の分析
古閑 永之助
1
1東京学芸大学特殊教育学科
pp.1306-1314
発行日 1981年11月1日
Published Date 1981/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911392
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睡眠の生理機能及び睡眠状態の自動分析に関する問題点
睡眠にかかわる自動分析あるいは自動診断ということについて,意味するところはなお単純ではない.一方では脳波,心電図,血圧,血中諸成分あるいはその他の生理現象の睡眠中の変動を記録し把握することであり,また一方ではこれらの把握から睡眠状態の分類を行うことまでの広い領域を含んでいる.本稿ではこれらの領域の概観を求めると同時に問題点を具体的に探ることにする.
覚醒から入眠し,漸次眠りが深くなるにつれて脳波が鋭敏な変化を示すことは古くからよく知られている.なんらかの方法でこの変動を量的に記述すれば,それは直ちに睡眠状態の分類となるのではないかという考えは素朴ながら当然のことと思われる.ここで得られた脳波的睡眠状態分類(睡眠段階;Sleep Stage)が他の生理現象記述の一つの基準となることが期待された.しかし脳波波形の解析はそれ自体極めて困難であり,またREM睡眠が発見されてから後はこの状態の脳波がNREM睡眠の第一段階のものと区別できないという事態が生じ,ポリグラフ法が必須の技術となった.
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