今月の主題 RIを用いる検査
総説
RIによる脳循環測定
鳥塚 莞爾
1
,
石井 靖
1
1京都大学核医学
pp.1113-1122
発行日 1981年10月15日
Published Date 1981/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911359
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RIによる脳循環測定は,他の臓器のそれに比べて最もよく進歩し,また病態生理解明への寄与の著しいところである.ある臓器内の状況をRIをトレーサーとして用いて,体外計測の対象としようとするとき,いつも問題となるのは,対象となる臓器以外に由来する重なり合った放射能をバックグラウンドとして計測せざるを得ず,対象のみの選別が困難な点にある.この点で,人の脳は大きくて,身体から突出しているので,早くから計測の対象としやすかった.他方,成人の脳の酸素消費量は100g/分,脳組織重量当たり3.3mlであって,これは全身の酸素消費量の20%に相当しており,これに伴って消費されるブドウ糖の量は,肝から放出される量の大半を占めている.このような大量消費は,心拍出量の15%に相当する豊富な血流供給に依存しているわけであり,脳の重量が体重のわずかに1/40〜1/50でしかないことを考えると,脳がいかに密接に血流に依存する臓器であるかが理解できよう.このような理由で,脳の機能を理解するためにはまず,その血流の測定が極めて木質的な要件であることが理解できよう.しかしながら,脳の機能は,言うまでもなく精神活動であって,それは覚醒・情動に支えられて,種々の情報を受容・加工・貯蔵し,これらを有機的に企図・制御しているが,このような種々の機能は,皮質—皮質下,前頭葉—側・後頭葉と,他の臓器に比べて,機能分担の地理的区分が比較的に明確なところである.
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