細胞診セミナー・5
細胞診スクリーニング—観察と判定の仕方
浦部 幹雄
1
,
高橋 正宜
2,3
1中央鉄道病院中央険査室細胞診室
2中央鉄道病院中央検査室
3杏林大・病院病理部
pp.329-334
発行日 1976年3月15日
Published Date 1976/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542909319
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症例1 胸水(中央鉄道病院出題)
司会(浦部) 最初に,担当医の山本先生から臨床経過をお話し願いたいと思います.
山本(幸彦,中央鉄道病院産婦人科,医師) 症例は14歳の女子中学生で,主訴は下腹部膨隆,発熱,咳漱です.1975年6月17日入院.入院時の主な所見は,発熱(38〜40℃),貧血,胸水の貯留(図1)であり,また超音波断層法により,下腹部に充実性腫瘍を認めました.胸水は手術までに6回穿刺し,計3,750ml得ています.その性状は淡褐色,漿液性でαフェトプロテイン660mμg/ml(血清700mμg/mt)と高値を示しまた,6月26日手術(左付属器切除),腫瘍は左卵巣で,成人頭大,表面平滑,一部凹凸でカプセル保存され,癒着はありませんでした.腹腔内には約700mlの腹水を認め,その性状は胸水とほぼ同様でしたが,腹腔内には転移を認めておりません.術後,化学療法を行い,現在順調に経過しています.
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