細胞診セミナー・1【新連載】
細胞診スクリーニング—観察と判定の仕方
浦部 幹雄
1
,
高橋 正宜
2
1中央鉄道病院中央検査室細胞診室
2中央鉄道病院中央検査室
pp.787-791
発行日 1975年7月15日
Published Date 1975/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542909047
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ばらばらに剥離した単細胞で癌の診断がなされようとは半信半疑であったのも,そう遠い昔ではないように思われる.臨床病理学と臨床細胞学会の主催による細胞検査士の資格試験が始められたのは昭和44年であるが,49年度までに439名の登録がなされており,その人たちを中心に勉強している潜在人口も考えると感無量である,実技の点からみても,婦人科細胞診ではパパニコロウ判定区分,クラスIからVまでの分類が普及し浸透したと思ったら,その徹廃がなされれつつある,国際細胞アカデミーのその主旨の是非はともかく,細胞診の判定がかなり詳細で病態を把握できるようになった結果,ばく然としたパパニコロウ区分では不十分になったためとも解せられる.一方,病理診断と同一に解釈すると患者の治療の面で過誤を招きかねない.細胞診を読む時,決して当てものであってはならないし,見方から判定主での道があるわけで,"細胞診は除外診である"とく,いわれるように,類似病変をふるい分けて病態を判定するという道を辿るものであろう.
日常検査の中で,読みすぎ,読み足りなさ,組織像との対比などを検討し勉強しようという会の記録を編集室のほうで載せてくださることになって,感謝するとともにこの機会に読者の皆様から広く,「あの細胞の読み方は間違っている」とか「こういう解釈はどうだろう」という疑問とか意見もいただければ幸甚である.(隔月号掲載)
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