中検へ一言・中検から一言
検査項目の新陳代謝,他
佐々木 博
1
1新潟大・内科
pp.284-285
発行日 1976年3月15日
Published Date 1976/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542909306
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近年中央検査室では,測定の自動化とコンピューター導入によるシステム化により,臨床検査の精度向上,データ集計の敏速化が行われ,臨床面,特に内科領域の診断レベルの向上にますますその貢献度が高まっている.しかし反面,今後機械化の進歩する中検システムの前に,我々内科医はデータの解読に追われ,患者の問診,診察を省略するいわゆる"カルテ医者"になる危惧なしとはいえまい.内科領域から中検への要望の一つは,従来より一つでも多くの検査項目を取り入れてほしいことである.過去あるいは現在の時点では研究室レベルで行われている検査でも,明日にはルーチン化される検査項目が年々増加している。しかし中検側の省力化にもかかわらず,これら要望のすべてを直ちに取り入れてもらえないのは現状であろう.したがって,一方ではルーチン化されてきた検査を減らす努力もされるべきで,例えば肝機能検査の項目に入っている膠質反応の多くは,現在では血清酵素,タンパク分画その他の検査によりその必要性は痛感されない.救急時における臨床検査データへの依存はますます高まってきてはいるが,夜間,休日における中検の対応は,すべての医療機関で満足される状況ではない.急性腹症診断時にレントゲン診断の必要性と同程度に,血清生化学的検査データは,肝胆道,膵疾患の鑑別に不可欠といえる.
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