中検へ一言・中検から一言
中央検査制度について,他
杉山 民雄
1
1東京医大・内科
pp.954-955
発行日 1975年9月15日
Published Date 1975/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542909088
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診療一般の中に含まれる検査の割合は年とともに増加しつつあるようである.これはより確かな治療方針を決定するためには,なおいっそう確実な情報が欲しいというニードに由来しているのであろう,その結果は検査項目の増加,検査件数の爆発的な増加となって検査室を襲来することになる.ことが人命に関するものであるといわれれば,ここまでがまず妥当で,これ以上は不当な要求であると線を引くことは難しいところであろう.無理に線を引いたところで,今日このごろの趨勢では,昨日引いた線を明日にでも引き直さなければならない破目に陥りそうな有様である.限られた予算,人員,スペースであれば,おことわりするか,移動できる検体であればよその検査センターに外注するしかあるまい.しかし,日常利用頻度も高いもの,検査成績がどれだけ早く得られるかが治療成績に反映してくるような検査項目に関してまで,検査を外部に依頼することは難しい.これらの検査に限っていうならば,病院内の中央検査室が解決しなければならない課題である,これは単に検査成績の精度管理のみならず,得られた成績をどれだけ早く伝達するかなど多くの複雑な問題が含まれているであろう.同時に従来研究室のなかで行われていた検査であっても,その有用性が立証された後は検査室で利用されなければ研究成果が生かされたとはいい難いし,国全体の医療水準を引き上げるには役立っているとは思われない.
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