中検へ一言・中検から一言
中検制度の功罪,他
石田 尚志
1
1聖マリアンナ医大・内科
pp.620-621
発行日 1976年6月15日
Published Date 1976/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542909396
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ほとんどの検査が臨床医の日常業務から離れて中央検査室で行われるようになって,かれこれ20年近くになるが,少なくとも血液,尿,ふん便などの検査できりきり舞いさせられた経験のある者にとっては現在の検査室制度は感慨深いものがある.今回"検査室ヘ一言"をとの注文をうけたが,これまで見聞された検査室に関係するいくつかの事柄を整理して老えて見よう.まず第一に,おそらくどこの病院でも問題とされることは検査報告のスピードの問題であろう.しかし,これについては検査室での検査処理スピードの問題よりも,むしろ検査伝票の動きが滞っている場合が少なからずあると思われるので,検査室と事務部門との間で緊密な話し合いの存在が必要であろう.次に問題として取り上げられる頻度の高いものは検査結果のバラツキあるいは変動についてである.これについては検査結果を利用する医師側の認識不足に基づく場合が多く,特に提出された検査材料の状態(凝固あるいは溶血)と日内あるいは日差変動のもともと大きい対象について検査を指示する側の十分な配慮が必要である.さて今日,大抵の大学病院の中央検査室には臨床側から医師が派遣され,検査室と臨床側とのパイプ役をなしているが,検査内容の性質上必ずしもその存在が明確となっていない場合がみられる.
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