講座 異常値の出るメカニズム・50 酵素検査・10
血清LAPとCAP
玄番 昭夫
1
Teruo Gemba
1
1中央鉄道病院・中央臨床検査室
pp.1133-1139
発行日 1982年6月10日
Published Date 1982/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217816
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LAPに関する混乱
ロイシンアミノペプチダーゼ(leucine amino-peptidase,LAP〈ラップ〉)とは,表のようにEC 3.4.11.1のコードNoをもつ酵素である.しかしこれまで臨床的に測定され,そして"いわゆる"LAPと呼んできた酵素はこの"真の"LAPと異なり,EC 3.4.11.2に属する酵素である.さらにEC3.4.11.3のシスチンアミノペプチダーゼ(cystine aminopeptidase,CAP〈キャップ〉)を"胎盤性"LAPと称することがあって,ますます混乱が大きくなっている,単に名称の問題だけであると臨床的にそれほど重大なものではないが,この3種類のLAP,すなわち"真の"LAP,"いわゆる"LAP,"胎盤性"LAPのもっそれぞれの臨床的意義も異なるために深刻な混乱が生じてくるのである.今回はまずこの問題の解説からはじめることにする.
"真の"LAP(これを本稿では単にLAPと呼ぶことにし,そして現在多くの臨床検査室で測定されている"いわゆる"LAPのことを,ここではアリルアミダーゼ<AA>と呼ぶことにする)とは,表に示したようにL-ロイシンアミド(あるいはL-ロイシルグリシン)を加水分解する酵素である.
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