特集 日常臨床検査法
Ⅰ.スクリーニング検査と精密検査
3.血清—臨床検査法における定量法の意義
木村 一郎
1
,
吉田 理恵子
2
1東大・血清学
2東大血清学教室
pp.1390-1393
発行日 1974年12月25日
Published Date 1974/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908785
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
患者血清などからその疾患に特有な抗体や抗原を検出し,正確な診断の助けとするとともに,他の必要な情報を得ることが血清学的検査法の目的であろう.現在は多数の検体の処理のため,簡便な定性または半定量的検査法が多く用いられるが,定量的な方法の意義が失われたわけではない.
抗体についていえば,健康人でも試験抗原に対する正常抗体や,以前の感染,予防接種などに由来する免疫抗体を持つことが多く,患者では別の疾患,近縁の病原体由来の抗体などを持つことがあるので,抗体の定性的証明がただちに診断につながるわけではない.しかし,これらの抗体は定量すると量が少なかったり,その他の定量的操作で鑑別が可能となる.さらに,疾病の経過や治療と並行して抗体価も消長するので,時期を追って得た定量値の比較は診断のみならず病状,治療効果などに対する重要な情報を与える.
Copyright © 1974, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.