技術講座 一般
血清アルブミンの定量法
富田 仁
1
1京都博愛会病院
pp.821-824
発行日 1984年9月1日
Published Date 1984/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203141
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血清アルブミン(以下,Albと略記)は,肝において産生され,血清蛋白の約60%を占め,膠質浸透圧を維持し,ビリルビン,脂肪酸,アミノ酸や薬剤など種々の物質の運搬に重要な役割を持っている.そして,血清Alb量は,肝硬変で代表されるような体内合成の低下,ネフローゼで代表されるような体外への漏出増加,栄養失調で代表されるような合成素材の低下などのときに,著明に低下するのをはじめ,一般的には体内蛋白代謝異常の指標として,その測定は重要である.
血清Albの測定法1)は,かつては直接測定法はなく,粘度と屈折率による物理的方法や塩析法(硫酸アンモニウム,亜硫酸ナトリウムなど)などによりA/G比を求め,その量を推定していたが,精度は著しく悪かった.チゼリウス型電気泳動法が出現してから,精度も良くなった感がした.しかしその後,濾紙電気泳動法,さらにセルロース・アセテート膜電気泳動法(以下,CAEと略記)が日常検査法として登場してから,チゼリウス法との不一致の主な原因が色素結合能にあることが判明したが2,3),放置されていた.
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