特集 自動化臨床検査法
血液
凝固・線溶
血小板凝集メーター(エバンス社)アグリゴメーター(ブライストン社)
小林 紀夫
1
,
新井 仁
1
,
竹内 季雄
1
,
高橋 美代子
1
,
前川 正
1
1群馬大第3内科
pp.1355-1358
発行日 1973年11月1日
Published Date 1973/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908311
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血小板の粘着および凝集能は止血あるいは血栓症の成立の初期の過程で重要な役割を果たしている.小血管の損傷では,内皮下の組織おもにコラーゲン線維が血液に露出し,血小板がこれにまず粘着し,次いで組織や赤血球あるいは粘着した血小板から放出されたアデノシンジリン酸(ADP)の作用によりさらに流血中の血小板がこれに凝集する.一方組織トロンボプラスチンが遊出して血漿因子と作用して小量のトロンビンが形成され粘着および凝集した血小板に作用して粘性変性を惹起し,さらに多量のADPや血小板第3因子が放出される.その結果血小板凝集は加速され血小板血栓は増大して出血は停止する.一方放出された血小板第3因子は内因性血液凝固を促進して,フィブリンの形成により完全な止血血栓が成立する.これらの関係をLüscherのモデルに従って図1に示した.
また病的な血栓の成立過程もこれと同様と考えられており,したがって血小板粘着あるいは凝集能の低下は出血傾向を示し,その機能の亢進は血栓症発生の原因となりうる.このように血小板粘着・凝集能の測定は臨床的に重要な意義をもっている.
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