総説
パイログロブリン血症
青木 紀生
1,2
1社会保険中京病院検査部
2日大臨床病理
pp.1520-1527
発行日 1972年12月15日
Published Date 1972/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907877
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M-タンパク血症において非常にまれではあるが,血清不活化時,血清が特異的なゲル化あるいは白濁凝固現象を示すことがある.この異常タンパクは1953年Martinら1)によりcryoglobulin(クリオグロブリン)と反対の性質を示すことから‘pyroglobulin(パイログロブリン)’と命名され,それ以後著者が文献的に検索できた範囲では外国で33例,本邦で11例の報告をみるにすぎない.現在のところパイログロブリンが存在するための特別な臨床所見はみられないが,多発性骨髄腫に併存することが多いことから,その診断法の一助として,またM-タンパク血症のうちでもパイログロブリン陽性例の血清粘稠度が高くhyperviscosity syndrome(高粘稠性症候群)の点からも注目されている.ここでは今までに報告されたパイログロブリン血症についてその概略を述べ,あわせてその発見方法ならびに出現機序について述べてみる.
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