技術解説
再検討されつつあるCRP検査
松田 重三
1
,
河合 忠
1
1日大臨床病理
pp.1514-1519
発行日 1972年12月15日
Published Date 1972/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907876
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1930年,Tillet and Francis1)により,肺炎患者血清中に肺炎球菌菌体のC-多糖体と沈降反応を示す異常タンパクの存在が指摘され,C-反応性タンパク(C-reactive protein;CRP)と呼ばれるようになった.CRPは当初予想されたような,肺炎球菌感染症に特異的に出現する病的タンパクではなく,いわゆる急性相反応型血漿タンパク像を示す疾患に高頻度に認められるタンパクであることは周知の事実である.しかし非特異的タンパクであるとはいえ,一般には疾患の活動性,重症度,経過,予後,治療効果の判定にきわめて有効であり,しかもその検査手技が簡便になったことと相まって,臨床に寄与するところが大である.
従来,CRP試験において保存検体を使用すると,偽陽性を示すことがまれならずあるということがいわれてきた2).したがって,CRP試験においては新鮮な非不活化血清を使用することが一般的であったが,われわれの実験において,従来‘偽陽性’といわれてきたものの新鮮時の成績は,実は‘偽陰性’であり,CRP陰性と判定された検体の約20%においてCRPを見のがしていたことを明らかにした3).これら偽陰性を示す要因の1つとして,少なくとも補体が関与しているであろうことを確認したが4),この要因を取り除くためには,CRP試験に供する検体をすべて不活化することが有用である.
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