特集 負荷機能検査法
Raynaud病と指先脈波
三島 好雄
1
1東大第1外科
pp.1012-1013
発行日 1972年9月15日
Published Date 1972/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907749
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四肢先端の小動脈の発作的収縮によって指趾の皮膚色調が間歇的に変化し,蒼白(pallor),青紫(cyanosis),紅潮(rubor)などの状態を呈するものを,Raynaud現象と呼んでいる.Raynaud現象のうち,基礎疾患がなく,純粋に小動脈の収縮によって起こるものをRaynaud病といい,若い女性に多く,両側の指に対称的に発生するのが特徴である.また,外傷,振動工具の使用,神経疾患,重金属中毒,膠原病などの際にもRaynaud現象の合併することがあり,これらを2次Raynaud症候群と総称している.その発生機序から,Raynaud現象はこのように2つに分けられているが,Raynaud現象という指先循環異常の面から検索してみると両者の間に差がない.
Raynaud現象を呈する指先では,1,2月の寒い時期には脈波の波高が減少し,蒼白発作の際には脈波は消失するが,春先から夏にかけて気温が上昇すると脈波の波高も増加し,波形も正常となって健康人と区別しにくくなり,秋口から冬になって気温が低下するとともに再び血管収縮を起こすというように,指先脈波に季節変動がみられる.また,患者を静臥させて指先脈波を記録しながら室温を変化させてみると,20°−25℃の室温では健康人と変わりないが,室温がそれ以下になると脈波の波高が小さくなり,15°−18℃になると脈波が消失する.再加温に際しては,室温が20℃前後に上昇すると脈波が出現して,波高も急速に増大する.
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