今月の主題 First-line検査
異常症状からみたFirst-line検査
Raynaud症状
井上 哲文
1
1東京大学医学部物療内科
pp.758-759
発行日 1994年4月10日
Published Date 1994/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402902693
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ポイント
●Raynaud症状(Raynaud's phenomenon)は,寒冷刺激や精神的緊張に由来する手指の血管攣縮によってもたらされる.
●症状は主に近位指節関節より末梢部位に生じ,皮膚の色調はまず蒼白に,そして紫色に変化する.さらに,回復過程では充血によって潮紅することが多い.血管攣縮を生じている間は,手指は冷たく,知覚鈍麻や疼痛を有することも少なくない.
●Raynaud症状は,手指だけでなく足趾にも生ずる.また稀ではあるが,鼻尖,耳朶,舌に及ぶこともある.
●基礎疾患を有する頻度は高く,その診断の契機となる症状ではあるが,これを有しないRaynaud病(primary Raynaud's phenomenon)に留意する必要がある.
●基礎疾患としては,各種膠原病,時に進行性全身性硬化症(PSS),混合性結合組織病(MCTD),全身性エリテマトーデス(SLE)の頻度が高い.これらの疾患においては,Raynaud症状がその他の皮膚症状,臓器症状,臨床検査異常に先行することも稀ではない.
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