技術解説
リゾチーム(ムラミダーゼ)の簡易測定法—白血病の鑑別診断のために
桑島 実
1
,
河合 忠
1
1日大臨床病理
pp.693-701
発行日 1972年7月15日
Published Date 1972/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907669
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最近,白血病の分類,ことに単球性白血病の補助診断の1つにリゾチームの測定が注目され,白血病の治療効果および予後の判定や腎疾患,消化管の潰瘍性疾患などの診断にも意義があると言われている1-3).
1907年Nicolleがニワトリ卵白中に溶菌作用のある酵素の存在を予想したが,リゾチームに関する最初の記載は1922年Fleming4)による.当時ロンドンに流行していた感冒にかかった彼は,自分の鼻汁を細菌培地に落としてみたところ,ある種の細菌では溶菌現象の起こることを見いだした.鼻汁以外に涙,血漿,喀痰,膿その他の体液成分,パパイヤや卵白にもこの現象がみられたことから,溶菌作用のある酵素様物質という意味でリゾチーム(Lysozyme)と名付けた.同時にリゾチームに対して最も感受性の高い細菌としてMicrococcus lysodeikticusを分離した.
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