技術解説
フィラリア症の検査
田中 寛
1
1東大・医科学研究所寄生虫研究部
pp.683-692
発行日 1972年7月15日
Published Date 1972/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907668
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わが国のフィラリア症はおもに奄美大島,沖縄に分布し,そのほか九州,四国の一部に浸淫地が知られていた.1962年から始まった厚生省のフィラリア駆除対策により,各地のフィラリア保虫者は激減し,奄美大島ではかつて陽性率が10%を越えていたのに,今日では保虫者をみつけるのが困難なほどに減少した.沖縄でも陽性率30%もの部落があったが,今日では著しく低率になっている.
一方,慢性のフィラリア症はまだ見られ,象皮腫,陰嚢水腫,乳糜尿の患者は旧浸淫地域ばかりでなく,都市の病院でもしばしば遭遇する.フィラリア症の確定診断は末梢血液からミクロフィラリアを検出することによるが,この検査はひんぱんに行なわれるものではないので,適切な方法で検査が行なわれていないのが現状である.
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