今月の表紙 帰ってきた寄生虫シリーズ・14
フィラリア類
藤田 紘一郎
1
1東京医科歯科大学大学院国際環境寄生虫病学
pp.118-119
発行日 2001年2月15日
Published Date 2001/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904678
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ヒトに感染するフィラリアにはリンパ系に寄生するバンクロフト糸状虫,マレー糸状虫,チモール糸状最近,虫と皮下などの組織に寄生するロア糸状虫,回旋糸状虫(オンコセルカ),イヌ糸状虫などがある.
リンパ系フィラリア症は日本や韓国,台湾では既に根絶された疾患であるが,世界73か国に1億2千万人の感染者がおり,インドやバングラデッシュなどでは無計画な都市化や地球温暖化に伴って感染者が年々増加している現状である.ネッタイイエカなどの蚊によって媒介され,急性期にはリンパ管炎を伴う熱発作と成虫による組織障害が起こり,この時期のみ血中にミクロフィラリア(mf)を産出する(図1,2).成虫自身の寿命は数年程度と言われ(図3),慢性期には象皮病,乳び尿,陰嚢水腫を呈する(図4).マレー糸状虫症では膝下の象皮病で泌尿器系の症状を伴わない.
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