研究
阻害剤を使用したLDHアイソザイム測定について
岩田 一郎
1
,
加藤 実
1
1名古屋市立緑市民病院中央検査科
pp.297-300
発行日 1972年3月15日
Published Date 1972/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907553
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はじめに
臨床酵素学の進歩に伴い,酵素測定も総活性のみでなく,アイソザイム的に分別することが多くの酵素で提唱され,臨床的にも大いに重要視されてきている.その中で最も古くから扱われているLDHは,Meister1)らにより,その不均一性が発見されて以来,電気泳動,クロマトグラフィー,塩析,抗血清や,熱または阻害剤などによる抑制,補酵素同族体利用能による方法など数々の試みがなされ,現在では電気泳動による方法が最も広く行なわれているが,測定操作上問題もあり,一般的にルーチン化されるに至っていない.
1966年,Babson2)により阻害剤を使用した,LDHァイソザイム測定法が考案された.すなわち,H型LDHが2M乳酸で,またM型LDHが2M尿素で選択的に抑制されることを利用したもので,この方法を活性測定時に同時に行なえば,LDH総活性値の上昇が,H型かまたはM型によるものかを識別することができる.この方法をキット化したLDHプロファイルを入手する機会を得たので,測定操作上の問題点,正常血清のプロファイル値,プロファイル法と電気泳動法およびHBD/LDH法との比較,血清の保存温度の影響などについて報告する.
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