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病原大腸菌と腸炎ビブリオ
土屋 俊夫
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1日大・臨床病理
pp.688
発行日 1970年7月15日
Published Date 1970/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906844
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1.病原大腸菌
グラム陰性汗菌である大腸菌は代表的腸管内常在菌で,生後まもなく腸管内に浸入し,小腸下部と大腸に常在細菌として生息している.正常人の腸内では,多くの大腸菌は病原性を発揮することはないが,ひとたびこれら大腸菌が腸管外に出て他臓器および体腔内にはいった場合には,病原性を発揮する.たとえば大腸菌が起炎菌となりうる病気には膀胱炎,腎盂腎炎,胆管炎,虫垂炎そして外科で問題となる術後腹膜炎などがある.
以上は一般的な大腸菌の性質である.しかし大腸菌の中にも独自で腸炎をひき起こす病原性をもつ大腸菌の存在がBray (1945),Beavan (1948)らにより報告されている。病原大腸菌は急性胃腸炎をひき起こし,乳幼児の感染が多いのは,人の生涯を通じてこの期間は最も免疫グロブリン量が減少しているため,感染に対する抗抵力が減退しているからである.病原大腸菌と一般大腸菌とを鑑別する場合には,血清学的型別が行なわれており,大腸菌の抗原構造は菌体抗原(O抗原),莢膜抗原(K抗原),鞭毛抗原(H抗原〉により抗原構造を決定する.
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