特集 血清学的検査—その本質と実際
リウマチ因子,自己抗体,補体
自己抗体—臨床面より
本間 光夫
1
1慶大・内科
pp.1126-1129
発行日 1969年12月1日
Published Date 1969/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906608
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自己免疫疾患について
ある種の病気には循環抗体が見つかるが,それがあるからといって,その病気の組織障害がただちに自己免疫過程によって起こっているものとは必ずしもいえない.事実血清抗体それ自身有害的に作用しなくともよいし,またある場合には組織破壊の単なる結果として抗体が産生されているということもよく知られているからである.しかもその組織の破壊は,完全に免疫現象とは無関係の機序によって生じたもので,それ対して抗体が作られたのである.
さて自己免疫が発症機序であるということを証明することは,現在の段階ではなかなか困難である.いくつかの病気については,この可能性を強く示唆するような成績が集められている.しかし大部分は未解決であるので,原因的関係は今後の成果にゆだねなければならない.したがって現時点では,"自己免疫現象"の見られるものを自己免疫疾患と広く取り扱わざるをえないものと考えられる.
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