技術解説
赤血球寿命測定法
前川 正
1
,
和田 武久
1
MAEKAWA TADASHI
1
,
WADA TAKEHISA
1
1群馬大学医学部第二内科学教室
pp.567-572
発行日 1963年8月15日
Published Date 1963/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906144
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はじめに
赤血球には生理的寿命があり,正常な状態では老化したものから順に死滅崩壊していく。従って生体内の血球数を正常に維持するためには,この崩壊に見合うだけの生成が必要であり,赤血球崩壊の亢進等の理由でこの平衡が負となれば貧血が招来される。それゆえに赤血球の寿命測定は,貧血の成因を探求する上に欠くことのできない検査の一つである。
赤血球寿命の測定法としては,古くは尿便中に排出されるビリルビン代謝物質,主としてウロビリノーゲンを測定して,その一日排出量より赤血球の破壊量を計算する方法1)が行なわれた。全身の血色素量が既知であってすべてのウロビリン体が赤血球に由来し,しかも再吸収を除外し得るとすれば,これから赤血球寿命を逆算することも可能であろうが,以上の前提が満たされるものでないことは明らかで,本法により正確な赤血球寿命を求めることはできない。
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