技術解説
保存血液の取り扱い方
遠藤 武
1
ENDO TAKESHI
1
1千葉県血清研究所血液部
pp.489-494
発行日 1963年7月15日
Published Date 1963/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906134
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
I.保存血液の有用性
周知のごとく,近時外科的療法の発達は,かって不可能視された肺切除術,心臓切開術等を成功裏に行なうことを可能ならしめ,さらに進歩が予想される現状である。この進歩をささえる基盤となったものは,大づかみにいって,麻酔術の進歩化学療法の発達および保存血液の使用を根幹とする輸血輸液法の向上である。
輸血の主たる目的は大量の出血による失血死を防ぐという消極的な療法にあったのであるが,近代医学ではそれが術前,術中および術後の輸血を行なうことによってさらに大量の出血を伴う処置をも可能にするという,むしろ積極的療法の意味をもつようになってきたものである。
Copyright © 1963, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.