技術解説
B.S.P.検査について
亀田 治男
1
1東京大学上田内科
pp.97-104
発行日 1960年2月15日
Published Date 1960/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905667
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I.はしがき
血中に注入されたPhenolphthaleinは肝より排泄されて殆んどすべてが胆道中に出ることがAbel&Rowntree1)によつて記載されて以来,本色素は種々の方法で肝機能検査に利用されてきた。Rosenthal&White2)はさらに肝排泄機能試験に適切な色素としてPhenol tetra brom-phthalein disodium sulphate(第1図)即ちブロムサルファレンBromsulfalein, B.S.P.(以下BSPと略す)を発見した。そもそもある検査術式を臨床的に肝機能検査法として応用しうるためには,それが肝障害を特異的に表現し,実施が容易で誤り少なく,副作用乃至反応もまた少ないものでなければならない。肝機能が甚だ広汎多岐に互るものであることは衆知の事実であり,各機能に対して多くの検査法が考按されているが,排泄機転の検査として用いられる色素のうちBSPは上述の要求を比較的よく満足してくれるものであり,現在最も重要な肝機能検査法の1つとして広く応用されている。しかしながら本法の基礎的事項即ち正常界の決定・排泄機序の細部などに関して充分に検討されているとはいい難いので,BSP静注後の血中停滞濃度,尿中への排泄状態などについて検討した結果を報告し,同時に最近問題となつているBSPの副作用ことにショックについても簡単に記載したいと思う。
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