技術解説
髄液検査の2〜3について
富永 一
1
,
松岡 栄一
1
,
清野 昌一
1
,
石田 元男
1
1国立東京第一病院神経科
pp.89-95
発行日 1960年2月15日
Published Date 1960/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905666
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
まえがき
血液と髄液のワ氏反応,髄液のグロブリン反応および細胞増多が,中枢神経系梅毒の診断に必要なホルツマン・ノンネの4反応あるいは4柱とよばれ,エスクーヘンが,これにランゲの金膠質反応を加えて5反応としたことはよく知られている。この梅毒性疾患のほかに,髄膜炎,脳炎,脳の腫瘍や膿瘍,外傷,ポリオ,それに近年注目されるようになつた真菌性のものなど種々の中枢神経系疾患については,とくに髄液がしらべられており採取のさいに測る液圧や,眼でみた性状のほかに,細胞数,蛋白反応,ワ氏反応,膠質反応は必ず検査されねばならぬし,さらにくわしくは,蛋白定量,細胞の鑑別,細菌学的検査,糖およびクロールの定量,トリプトファン反応などが,通例検索されている。
髄液は,もちろん神経科ばかりでなく他の臨床各科でしらべられ,綜合病院のようなところでは,臨床医の手をはなれて,これが中央検査室における重要なルーチンワークの1つとなつているが,それには細菌学,血清学,細胞学,物理化学,化学,膠質化学などの知識のほかに,髄液そのものの解剖と生理が了解されていることが望ましい。このためには,日本にもいくつかの参考書がでているので,それをみていただきたいが,ここには,髄液が採取されて検査室にわたされるまでに,臨床上是非やらねばならぬと思われる検査の2〜3につき,私見をまじえてごく簡単にのべ,御批判をあおぎたいとおもう。
Copyright © 1960, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.