技術解説
バイオプシー(生検)材料の標本作製方法
高木 文一
1
,
鳥海 純
1
1東京慈恵会医科大学病理学教室
pp.71-78
発行日 1959年2月15日
Published Date 1959/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905545
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緒言
上記の様な題名の中には,先ず生検材料から標本作製のために組織片を切り出すことが含まれて居る。このことは実際には,生検材料の取扱い検索方法と名付けられるべきもので,検査室技術者の為すべきことではなく,臨床(外科)病理学者の任務である。従つて,本稿からは省くこととする。
一般に生検材料の標本作製に当つて最も注意すべきことは,美麗な標本を作るのが良いのは勿論であるが第一に標本作成に要する時間を出来るだけ短くすることである。これは云うまでもなくその標本による病理組織学的な診断が依頼して来た臨床家に出来るだけ早く送られること,即ちこれによつて臨床家の治療方針,手術の可否,その他患者の病を治す手段が一刻も早くとられることを意味して居るからである。そして又材料を受取つてから診断が出来る迄の期間は一定している方が,臨床家にとつて患者との関係に於て大変便利であるので,常に一定の日程に従つて標本作成を進めて行くことが望ましい。次にこれと劣らずに大切なことは,臨床病歴をつけて送られて来た材料は,病理学者によつて必要な所が切り出され,番号をつけて標本作製者へと送られて来るのであるが,その番号を間違わないことである。この様なことは起りそうになく思われるかも知れないけれども1年間に2000〜10000例以上の多くの材料を取扱う様になると稀ではあるが臨床病理検査室で起り得る。
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