Japanese
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講座
腎のバイオプシーに就て
Renal Biopsy
木下 康民
1
Yasutami KINOSHITA
1
1新潟大学医学部(桂内科教室)
1Department of Medicine, Niigata University School of Medicine
pp.613-629
発行日 1955年10月15日
Published Date 1955/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200290
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緒 言
腎疾患の診断は屡々困難な事があり,就中,慢性腎炎と本態性悪性高血圧症,リポイドネフローゼと亜慢性腎炎のあるもの,或は又本態性良性高血圧症の悪性移行期と悪性高血圧症との鑑別は従来から甚だ難しく,剖検台上に於て始めて正確な診断をつかみうるということすら少なからず経験される。
近年,Smith等に依る腎クリアランス法並にWarren等に依る腎カテーテル法の導入に依り急速な進歩をとげた腎機能検査法を以てしても,尚且つ鑑別診断の極めて困難な場合に遭遇する。一方,腎はその機能上,他臓器と密接な関係にあるため他臓器の病変が屡々二次的に腎の組織学的病変,或は単に機能的障碍をひき起すことがあるが,この様に腎機能障碍として現われる背後の病態は独り腎疾患に限らず他臓器でもあり得るし,又いずれの場合に於ても,腎機能障碍が糸球体障碍,或は尿細管障碍という如く個々分離して現われる場合のみではないことから,腎機能障碍の解釈には甚だ容易ならざるものがある。
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