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アレルギーの病態における遺伝子発現変化
安永 晋一郎
1
,
出原 賢治
1
1佐賀医科大学医学部生化学講座
キーワード:
IL-4&IL-13
,
DNAマイクロアレイ
,
DNAチップ
,
SCC
Keyword:
IL-4&IL-13
,
DNAマイクロアレイ
,
DNAチップ
,
SCC
pp.205-207
発行日 2002年2月15日
Published Date 2002/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905048
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1.はじめに
主に免疫系の細胞により産生される生理活性物質であるサイトカインは,産生細胞自身もしくは近傍にある標的細胞上の特異的レセプターに結合することによりシグナルを細胞内に伝達し,最終的には種々の遺伝子の転写調節を行うことで,その生理作用を発現している.様々なアレルギー疾患における炎症局所に浸潤が認められるTh 2型ヘルパーT細胞(Th 2細胞)の分泌するTh 2型サイトサイン(IL-4, IL-5, IL-9, IL-10, IL-13)は,アレルギーの病態形成において中心的な役割を果たすと考えられている1).なかでもIL-4およびIL-13は,遺伝子欠損マウスなどの研究からアレルギー疾患発症に重要であることが明らかとなっている。これら2つのTh 2サイトカインは,後述するように一部共有のレセプターコンポーネントとシグナル伝達経路をもつため,類似した生物活性を示すサイトカインであることが知られている.そこで筆者らは,IL-4およびIL-13刺激により発現が変化する遺伝子群がアレルギーの病態に重要と考え,それらを網羅的に同定するためDNAマイクロアレイ(DNAチップ)を用いてIL-4やIL-13刺激下の様々な組織由来の細胞に対して遺伝子発現モニタリングを行った.本稿ではIL-4およびIL-13のレセプター構造およびシグナル伝達機構について概説し,DNAチップ解析によって得られた最新の知見を紹介したい.
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