特集 超音波検査の技術と臨床
Ⅵ.産婦人科
2.卵巣
秦 幸吉
1
,
宮﨑 康二
1
Koukichi HATA
1
,
Kouji MIYAZAKI
1
1島根医科大学医学部産科婦人科学教室
pp.1470-1474
発行日 2001年10月30日
Published Date 2001/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904958
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はじめに
卵巣は女性骨盤腔内の比較的後尾側に存在するため,その描出には経腹走査法では腹壁上から卵巣までの距離的関係から超音波周波数を制限せざるをえず,そのため,解像力にも限界があった.1980年代の後半から産婦人科領域に導入されるようになった経腟走査法では,探触子を腟円蓋部に接して操作できるため近位描写に適した高周波数超音波を使用でき,卵巣は経腹走査法に比べはるかに解像力の高い鮮明な画像として描写することができるようになった.さらに,1980年代のおわりころからカラーおよびパルスドプラ法(ドプラ法)が婦人科領域に導入されるようになって以来,従来の形態学的診断に加えて,機能的診断も行えるようになってきた.そのため卵巣および卵巣腫瘍の診断能力はおおいに向上し,現在では完成度の比較的高いものとなっている.
本稿では,卵巣・卵巣腫瘍の超音波診断の現状について,最近その診断上不可欠となってきているドプラ法も含めて解説する.
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