講座 症候からみた腹部エコー検査のこつ
鑑別のポイントと描出のテクニック
下腹部腫瘤
秦 幸吉
1
,
宮﨑 康二
1
1島根大学医学部産科婦人科学教室
pp.665-673
発行日 2004年9月15日
Published Date 2004/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1427100293
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はじめに
下腹部腫瘤は女性患者においてしばしば遭遇する所見である.患者が自覚して受診した場合と,随伴症状のため受診し,触診あるいは超音波検査などで指摘される場合とがある.下腹部腫瘤の診断にあたっては,①腫瘤が本当に存在するのか(鼓腸,腹水との鑑別),②腫瘤の由来(内性器,消化器,泌尿器由来などの鑑別),③腫瘍性か炎症性か,④良性か悪性かなどについて診断を進めることが大切である.問診,視診,触診,内診を行う過程で,超音波検査を効率よく利用することが重要である.子宮・付属器の観察には経腟超音波検査がもっとも簡便かつ有用であり,初診時に行うべき検査で,時に内診より詳細な情報を得ることができる.腫瘤が大きい場合には,経腹超音波検査を併用する.
本稿では,下腹部腫瘤,主に内性器由来の腫瘤診断における超音波検査法活用の現状について解説する.
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