今月の主題 心エコー法の現況
臨床診断
心臓ならびにその周辺の腫瘍
吉田 清
1
,
吉川 純一
1
Kiyoshi YOSHIDA
1
,
Jun-ichi YOSHIKAWA
1
1神戸市立中央市民病院・循環器センター内科
pp.1384-1387
発行日 1981年8月10日
Published Date 1981/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217287
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心臓外科の急速な発展に伴い,種々の心臓腫瘍も外科治療により容易に救命しうるようになってきた.それゆえ,心臓腫瘍の的確な定性的診断のみならず,その形状,大きさ,運動などを分析する定量的診断もきわめて重要となってきた.その要求に超音波診断法は十分にこたえるものであり,従来生前診断困難であった心臓腫瘍は,超音波診断法の登場により最も診断が容易な疾患となった感がある.
心臓に発生する原発性腫瘍としては,左房粘液腫が圧倒的に多い.粘液腫は,稀に右房あるいは心室から発生することがある.粘液腫に次いでよくみられる良性腫瘍は,壁在性に発生するrhabdomyomaである.rhabdomyomaは小児の原発性腫瘍の中で最も多いものである.以上の二者以外の良性腫瘍としては,fibroma,lipoma,angioma,teratomaなどがあるが,これらはきわめて稀な疾患である.原発性の悪性腫瘍としては,fibrosarcoma,rhabdomyosarcomaなどがある(原発性心臓腫瘍の約20%).
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