特集 超音波検査の技術と臨床
Ⅲ.循環器
3.心血管疾患各論
2)心筋症(2)拡張型心筋症
水重 克文
1
,
近藤 功
1
Katsufumi MIZUSHIGE
1
,
Isao KONDO
1
1香川医科大学第2内科
pp.1369-1372
発行日 2001年10月30日
Published Date 2001/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904938
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拡張型心筋症と超音波検査
拡張型心筋症は,進行性の心筋変性と線維化を組織学的特徴とする,原因を特定できない心機能低下をきたす疾患である.このような進行性の病態に対して,薬物療法としてはアンギオテンシン変換酵素阻害薬1)やβ遮断薬2)が用いられ,その有効性が実証されている.また一方では,長期的予後は不良であり,心移植の適応となる疾患として注目されている.
心エコー法は,心臓の形態を非侵襲的,実時間的に観察しうることから頻回に施行でき,簡便な心機能評価法として拡張型心筋症の診断,その進行性の心筋障害の経過観察や,治療効果の評価に適している.さらに,このような従来からの形態診断に加えて,心筋組織性状に依存して心筋内から反射,散乱した信号を抽出,解析する心筋組織性状診断も行われるようになっている.この後方散乱波の強度でみられる心周期性変動は,心筋収縮を反映するとされ,より鋭敏な収縮指標として用いられつつある.また,心筋収縮や拡張の状態は心内圧に反映される.ドプラ法によれば,この心内圧の変化を血流速度パターンとして観察できる.特に,心機能異常をより感度良く捕捉できる拡張能の障害については,ドプラ法によって記録される左室流入血流パターンの解析から容易に検出可能で,本疾患の経過観察や予後の推定などに応用されている.
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