特集 超音波検査の技術と臨床
Ⅱ.総合
7.眼科
尾碕 憲子
1
,
菅田 安男
1
Noriko OZAKI
1
,
Yasuo SUGATA
1
1都立駒込病院眼科
pp.1284-1286
発行日 2001年10月30日
Published Date 2001/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904922
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Aモード
診断用Aモード(time amplitude ultrasono-graphy)はほとんど眼科に限られる超音波診断の分野である.通常の断層像が組織からの反射の大きさを輝度の分布として表示するのに比べ,時間軸上に反射の大きさを表示したものである.組織性状をよく反映しているとして欧米で好んで用いられる.Ossoinigにより提唱されたstandardized echography(標準化超音波診断法)1)が普及しており,脈絡膜腫瘍の鑑別,強膜厚,視神経鞘径などあらゆる病変の記載がなされている2).表面麻酔剤を点眼後,メチルセルロース液を介して眼球に直接プローブを当て,反射波形を観察する.反射高は球後に向かって急激に減衰するため,どの装置も後方エコーの増幅を行い波高の比較を行いやすくしている.この増幅法に一定の基準を設けて検者間,装置間の所見の違いを少なくしようというのが標準化提唱の根拠である.減衰の大きな原因である水晶体を避け,眼内の病態をよく頭に描き,動きの大きな反射波形を観察する.手技に熟練を要するためか日本ではあまり用いられていない.
計測用Aモードは,白内障手術時の眼内レンズ挿入に際して,眼内レンズ度数の決定に必要不可欠な眼軸長を測定するために眼科日常診療に定着している.散瞳被検眼に表面麻酔剤を点眼し,メチルセルロースを介してプローブの開口部を角膜の変形が起こらないように垂直に軽く触れる.
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