特集 細胞診―21世紀への展望
第4章 判定の実際
5.乳腺:小型異型細胞の鑑別
土屋 眞一
1
,
北村 隆司
2
Shin-ichi TUCHIYA
1
,
Takashi KITAMURA
2
1長野県がん検診・救急センター検査部
2昭和大学藤が丘病院中央臨床検査部
pp.1291-1293
発行日 2000年10月30日
Published Date 2000/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904555
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はじめに
乳腺腫瘍の細胞診断は他臓器のそれと比べて判定困難例に遭遇することが多い.その原因として乳腺穿刺細胞診では小型で異型に乏しい乳癌細胞が少なからず認められる反面,良性病変である線維腺腫(fibro-adenoma)あるいは乳腺症(mastopathy)などに強い異型を示す細胞が見られるからである.現在の乳腺穿刺吸引細胞診の正診率は85%前後とほぼ一定しているが,今後さらに診断精度を向上させるためには,乳腺腫瘍のうちで少なからざるウエイトを占める"小型異型(癌)細胞"を如何にして判定するかにかかっていると思われる.
本稿ではこの小型異型細胞の特徴,および良性病変との鑑別診断について概説する.
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