特集 細胞診―21世紀への展望
第4章 判定の実際
3.甲状腺:乳頭癌の分化度推定
辻本 正彦
1
,
郡司 有理子
1
Masahiko TSUJIMOTO
1
,
Yuriko GUNJI
1
1大阪警察病院病理科
pp.1283-1285
発行日 2000年10月30日
Published Date 2000/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904552
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はじめに
甲状腺乳頭癌の大部分は比較的予後良好とされているが,なかには局所再発,遠隔転移をきたし,患者を死に至らしめる症例も少なからず存在する.坂本ら1)はこのような予後のやや不良な症例を区別するため,組織学的に甲状腺乳頭癌を予後の良好な高分化型と予後のやや不良な低分化型の2型に分けることを提唱しており(図1),「甲状腺癌取り扱い規約」第5版にも記載されている(表1).
また西田ら2)は,多数の甲状腺癌症例を坂本分類にしたがって,高分化型成分のみの症例(A群),低分化型成分を腫瘍の10%未満含むもの(B群)と低分化型成分を10%以上含むもの(C群)の3群に分け,術後の予後を比較検討した.その結果,A群とB群に差はないが,C群は他の2群に比してリンパ節転移の頻度が高く,甲状腺外への浸潤が多く,遠隔転移も多く,再発率が高く,予後も有意に不良であることを示した(図2)2).
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