特集 細胞診―21世紀への展望
第4章 判定の実際
2.唾液腺:唾液腺の穿刺吸引細胞診―診断へのアプローチと鑑別診断
廣川 満良
1
Mitsuhiro HIROKAWA
1
1徳島大学医学部第1病理
pp.1278-1282
発行日 2000年10月30日
Published Date 2000/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904551
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はじめに
穿刺吸引細胞診は侵襲が少なく,比較的簡単に病変部から細胞を採取でき,組織学的診断も可能なため,現在唾液腺腫瘍の術前診断の1つとしてさかんに行われている.その診断精度は術中迅速組織診断とほぼ同じであり,偽陽性は穿刺吸引のほうが,偽陰性は迅速組織診断のほうが高くなる傾向があると言われている.穿刺吸引細胞診に期待できることとして,唾液腺であるか否か?,腫瘍性か非腫瘍性か?,良性腫瘍か悪性腫瘍か?,腫瘍の組織型は何か?,さらなる検査が必要か?,治療が必要か?,術式をどうするか?などが挙げられるが,実際,唾液腺腫瘍には非常に多くの組織型があり,また,個々の腫瘍の細胞像も多彩であるため,系統的な細胞診の見方が必要である.そこで,本稿では細胞診断へのアプローチと鑑別法について解説する.
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