特集 細胞診―21世紀への展望
第3章 検体処理と標本作製
6.標本作製の標準化・自動化に向けて
小林 忠男
1
Tadao KOBAYASHI
1
1済生会滋賀県病院臨床検査部
pp.1265-1271
発行日 2000年10月30日
Published Date 2000/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904548
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はじめに
"Cytopreparation is the foundation of cytomor-phology"という言葉が示すごとく,効率よくしかも良好に形態保存された標本を作製することは細胞診の精度を保つ極めて重要な要素と言える.しかし,細胞検査に提出される検体は一様ではなくそれぞれの特性に合った検体処理がなされなくてはならない.そのため標準化の過程は決して単純なものとは言えないが,細胞診の精度を大きく左右する細胞標本作製において不適切な標本をできるだけ少なくする努力は,引き続き行われなければならないことに変わりはない.1991年にHutchinsonら1,2)がdirect-to-vial方式に基づいた検体の液状化処理の新技術を子宮頸部スメアで行い従来法より精度の高い結果を示した.これらはまた,非婦人科検体についても同様の検討結果3,4)が報告され,この新技術を利用した標本作製が作業の標準化と併せてにわかに脚光を浴びることとなった.
本稿では液状処理化の技術を紹介し子宮癌細胞診の自動処理に向けた米国における試みとそのゆくえを概説する.
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