特集 細胞診―21世紀への展望
第3章 検体処理と標本作製
5.固定・染色・封入法の新しい試み
畠山 重春
1
Shigeharu HATAKEYAMA
1
1(有)サイパソリサーチセンター(前・板橋中央総合病院研究所)
pp.1259-1263
発行日 2000年10月30日
Published Date 2000/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904546
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はじめに
細胞診の歴史は以外と古く,近代細胞診の祖として君臨するPapanicolaou GN & Traut Hの論文よりも約100年ほど前の1843年に既になされている1,2).しかしながら,何といってもPapanicolaouの現代細胞診史に今なお残す功績は計り知れないものがある.その1つがShorr染色を改変したPapanicolaou (Pap)染色の考案にあると言える.細胞診の価値を飛躍的に進歩させた背景には,広く普及した細胞採取技術としての穿刺吸引法や,より高度な質的診断を可能とした免疫細胞化学染色法の存在も無視できない.しかし,細胞診においてこれらの手法を生かす基本的対象はPap染色標本が中心であり,改めてPapaniocolaouの偉大さを知らしめる働きをしているにすぎない印象である.この観点からは本稿も類に漏れない.近い将来,固定法をはじめ,細胞診の根底を覆すようなPap法に代わる染色技術の開発が待望される.
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